日本ではまだあまり知られていないSTEM教育を知っていくための本シリーズ。今回は、STEM教育を体験できる「Science Fair 2017」に参加してきたので、その様子をリポートする。
そもそもScience Fairって?
11月11日(土)と12日(日)、ロボティクス、プログラミング、VR、科学反応、磁石などをテーマに、STEMに関する様々な体験型ワークショップや展示会を行うScience Fairが、東京・白金台で開催された。当日は、イベント開始時間の10時にはすでに入口に親子連れが集まり、このイベントの注目度の高さを感じさせた。
会場では、テクノロジー、宇宙/物理、科学、数学など、STEMが横断する様々なジャンルの展示ブースを設置。3Dプリンターやドローンなどのハイテク機材もあり、科学の楽しさを存分に味わえるイベントとなっていた。
まずは、テクノロジーがテーマのテックルームへ。ハイテクなガジェットを前に、子供たちは好奇心旺盛な瞳で展示に見入っていた。
最新のテクノロジーを見たあとは、生物学と科学がテーマのバイオルームを訪れた。ここでは、顕微鏡で微生物を覗いたり、野菜のDNAを自分で取り出したりと、普段は見ることがない生物の細部について知れるブースが設けられ、生物学者になったかのような気分を味わえるワークショップも開催。生物好きな子供たちで賑わった。
化学がテーマのサイエンスルームでは、BZ反応を使った、液体の色がどんどん変わっていく化学ショーや、折り紙を壁につけて自分だけの星座を作れる、プログラミングとアートが融合したインタラクティブなプロジェクションマッピングの展示が。
紹介したほかにも、期間中は実にさまざまな展示が催されていた。ジャンルは多岐にわたるが、どのブースにも共通していたのは、“ワクワク感”。科学の難解さではなく、あくまで楽しさを前面に押し出した展示は、子供たちを驚かせたり笑わせたりしていた。
STEM教育を学ぶ在校生たちによる発表会も開催
当日は、イベントの舞台となった日本で唯一、STEM教育を行うローラス インターナショナルスクール オブ サイエンスに通う在校生によるプロジェクトの発表会も行われていた。研究内容をまとめたパネルが展示されていたのだが、その内容は「地震に強い建物を作るためには?」や、「遠くまで飛ばせるカタパルト(投石機)の作り方」など。どれも子供たちが自分でテーマを決め、自らで実験し、研究したと言うのだから驚きだ。
自分たちで考え、研究する。そのプロセスはどうやってできあがったのか。その理由について、実際にローラスで科学を教えているサイエンスティーチャーのDavidに聞いてみた。
「子供は本当に好奇心が旺盛なんだ。この前も、ある研究テーマをみんなで考えていたら、勝手に違うテーマを見つけて、そっちにのめり込んで行ったりする。面白い!と思えば、自分でどんどん先に進んでいくことができる。この研究プロジェクトも、その好奇心で進んだ結果、ここにたどり着いたんだ。ここ(ローラス)では、子供の自主性を育てていく。今回のScience Fairが、子供に科学の楽しさを知ってもらうキッカケになればいいと思ってるよ」
Science Fairに参加してみて感じたこと
STEM教育では、まず課題を与え、それを積極的に解決しようとする中で子供たちの自主性や問題解決能力を育んでいく。そこでまず最初のステップとなるのは、「なんで?」だ。科学の面白さ、楽しさを伝えるべく行われた今回のScience Fairで、子供たちは科学の楽しさを体感すると同時に、「どうしてこうなるんだろう?」という疑問も感じたはず。その疑問を解決しようと試行錯誤していく先に、STEM教育が掲げる「問題解決型」の人材が誕生するのではないだろうか。科学=楽しい!だけではなく、同時に感じる疑問を解決しようとしていくことが、STEM教育の真髄であることを含ませていた今回のScience Fair。単なるサイエンスイベントではなく、あくまでSTEM教育の第一のステップとしてのイベント。イベント全体を通じて、そんな印象を受けた。
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