「働き方の変化を当事者として体験したい」。社内初の男性育休で感じること

2017.9.29 17:07 更新

読了時間:8分47秒

きっかけは妻のMBA留学。社内初の男性育休を取得してロンドンで主夫をはじめました

Photo: Naoki Toyota

はじめまして。私は、株式会社ビズリーチに籍を置きながら育児休暇を取得し2017年8月からロンドンに一時移住した豊田直紀と申します(社内では男性の育休取得は初となります)。2017年6月に日本で第一子が誕生し、2017年8月に渡英しました。私にとって育児も海外生活も初めての経験です。

これから、私が育児休暇を取得しロンドンで主夫を始めた日々の生活で気づいた・感じたことを現地からお伝えしていきます。現在はこの新たな生活がスタートして1カ月半ほど経ったところですが、すでに、すべてのことに驚きと発見のある毎日を過ごしています。

Photo: Naoki Toyota

ちなみに、娘を抱っこ紐で寝かしつけながら書いています(いまこの瞬間は”ギャン泣き”しています)。

ほぼ同時に訪れた妻のMBA留学と出産

私が在籍するビズリーチは、人材領域を中心としたインターネットサービスを運営するHRTechカンパニーです。これからの時代にあった働き方、企業の採用の在り方や生産性向上を支援するサービスを日々立ち上げ、運営しています。ビズリーチ参画後の最初の約2年間は人事部の立ち上げをし、直近2年間はビジネス開発本部(いわゆるセールス部門)に従事していました。

両部署を通じて、多くの求職者と企業の方々とお会いする機会がありましたが、世の中の雇用の在り方や働き方が変化し始めていることを肌で感じてきました。国も「一億総活躍社会」を掲げて、政府を挙げてその実現に向けて取り組みをしていますが、まだまだ始まったばかりであり、雇用の在り方や働き方というのはこれから大きく変化していくことになると思います。

Photo: Naoki Toyota

そんな中、なぜ私がロンドンに住むことになったのかと言いますと、妻がロンドンにてMBA留学することになったのがきっかけです。

妻は私と同学年で、お互い28歳の時(現在32歳)に結婚しました。結婚する前から「世界中のヒトと友達になりたい」と言っていたのですが、ある日勤めている会社でMBA留学支援制度があることを知り、「MBAにいけば世界中のヒトと友達になれるかも」ということでその日から勉強をスタートし始めました。

MBA留学支援制度のステップとしては社内選考に通過して、そのあと正式にMBA受験をして合格すれば留学が決定するというものだそうなのですが、そもそも社内選考が厳しく、妻は3回目(3年目)で通過。そしてそこからやっと正式な受験に向けた準備が始まり、2017年春に晴れて合格となりました。

こうやって書くとバリバリのキャリアウーマンのようなイメージを想像してしまうのですが、私が言うのもなんですが2時間サスペンスとバナナマンが好きな、ちょっと愛嬌のある普通の女性です。人生のパートナーとして本当に尊敬しています。

そして2017年6月に第一子となる娘が誕生しました。つまり、妻は妊娠しながら受験勉強をしていたことになります。幸運にも、出産のタイミングは受験期間終了後となり、妻はなんとか出産に集中することができたようです(とはいえ、受験の兼ね合いで妊娠中に一度スイスにいかねばならず、そのときは私も有休を取得し、一緒に付き添いました)。なにはともあれ、無事に産んでくれた妻と元気に産まれてきてくれた娘に感謝です。

最終的に、産まれてきた娘の顔を見て育休を決心

このような私にとっても素晴らしい2つの出来事を前にして、自身の生き方・働き方を考え、私自身は迷うことなく育児休暇を取得することを選びました。その理由は、大きく2つです。

1つ目は、「これから変化していく世の中の生き方・働き方を自らも当事者として体験してみたい」と思ったからです。先の通り、国も含めて色々なところでこれからの世の中の生き方や働き方の変革について議論されていますが、最も変革を求められるのは国でも企業でもなく私たちひとりひとりだと思います。世の中の社会構造やルールが変化する中で、自身の人生をどう描いて歩んでいくのかということに対する責任は今まで以上に自分自身に委ねられることになります。

「○○にいっておけば安心だ」「○○をしていれば問題ない」というような過去の成功事例がそのまま適用できるケースは少なくなっていくと思います。そういったこれから変化が求められるような環境に身を置くことで、自分自身の考え方や行動がどういうふうに変わっていくのか自分自身でもみてみたいと思い、育児休暇を取得することにしました。

2つ目は、シンプルに「娘との大切な時間を過ごしたい」と思ったからです。幸運にも出産に立ち会うことができたのですが、産まれてきた娘の顔を見て育児休暇を取得することを最終的に決心しました。ビズリーチでの仕事は私にとってとてもやりがいがありましたし、何も不満はありませんでしたが、このタイミングでの自分にとっての大切な時間は家族と一緒に過ごすことでした。

娘に読み聞かせをする筆者
Photo: Naoki Toyota

今回育児休暇を取得することを周りの知人や友人に話したときに、何人かの方は私の今後のキャリアについて心配をしてくださいました。ただ先の通り、自身の人生をどう描いて歩んでいくのかは自分自身に責任があると思いますので、その過程も含めて楽しんでいきたいと思います。

育児休暇を取得することに対して、笑顔で送り出してくれたビズリーチには感謝の言葉しかありません。ビズリーチのミッションには「世の中の選択肢と可能性を広げていく」という大好きな言葉があります。ビズリーチで男性が育児休暇を正式に取得するのは今回初めてのケースとなりますが、このケースも、社内において働き方の選択肢や可能性がさらに広がっていくひとつのきっかけになればと思っています。

現地のパパコミュニティにも参加してみたい

今回、育児休暇を取得することを決断する過程において感じたことは、「自身の人生をどうやって生きるかを決めるのは自身の中にある」ということです。なので、今回私が決断した選択肢もいろんな選択肢や可能性の中のひとつにすぎず、誰かに強要するべきものでも推薦するべきものでもありません。ロンドンでの育児休暇生活の中でも、いろんな価値観や考え方に触れることをとても楽しみにしています。

これからロンドンでは、家事・育児はもちろんですが、せっかくですので現地のパパコミュニティに参加したり、現地の育児サービスをどんどん活用していきたいと思います。また妻が通う学校にはLIFE SHIFTやWORK SHIFTの著者のリンダ・グラットン教授がいますので機会を作ってお会いしてみたいと思っています。

【著者プロフィール】豊田直紀(とよた・なおき)


1984年4月生まれ、慶應義塾総合政策学部卒業。学生時代は2016年東京オリンピックの招致活動に従事。2008年、株式会社ビズリーチの創業期に学生インターンとして参画。2009年4月、楽天株式会社に新卒として入社し、2013年3月に株式会社ビズリーチに転職、現在に至る。趣味はサーフィンとトレイルランニング。

「育休とってロンドンで主夫するブログ」

豊田直紀

元記事を読む

Lifehacker


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