仕事が捗る「当たり前を破る逆説的思考」

2017.5.9 17:07 更新

読了時間:9分8秒

夜9時をすぎたらタクシーで帰るべき? 仕事を捗らせる「逆説」の思考法

『9時を過ぎたらタクシーで帰ろう。―一流の人だけが知っている「逆説」の思考法』(中山マコト著、きずな出版)とは、ずいぶん思い切ったタイトルです。「そんなこと、できるはずがない」と思われてもまったく不思議なことではありませんが、「このような考え方が成功のためには必要だ」と著者は主張しているのです。また、本書ではそのことを、「一流の人だけが知っている『逆説』の思考法」と定義しているのだそうです。

2001年にフリーランスとなり、広告・販促プランナー、コピーライターとして活動しているという人物。興味深いのは、安月給のサラリーマンだったころから、実際に夜9時を過ぎたらタクシーで帰るようにしていたというエピソードです。それは、翌日の朝、気持ちのいい状態で目覚め、大事な仕事を一気に効率よく片づけるためなのだとか。

考えてみてください。夜の9〜10時を過ぎた電車は例外なく混んでいます。いくら大好きな仲間と、気心の知れた友人と楽しい時間を過ごしても、満員電車の中で酒臭い空気を吸ってしまうと、その日の幸せな時間が一度に吹っ飛んでしまいます。
ですから、気持ちのいい状態で朝を迎えるには、タクシーで帰るしかなかったのです。(「Prologue」より)

いってみれば頭がクリアな朝の時間の生産性を、お金で買ったということ。当然ながら金銭的な負担は大きかったそうですが、その結果、成績も上がって昇給もしたのだといいます。つまりタクシーで帰ることが目的なのではなく、自分の能力を最大限に発揮して会社や組織に貢献したいと思うなら、それを阻害するボトルネックは、自らの努力と行動で取り除こうという考え方。

そこで本書においても、自ら環境を変える動きをするために意識しておきたい「超一流の『逆説』の思考法を紹介しているわけです。きょうはChapter 2「成果を、勝ち取れ!」から、いくつかを引き出してみたいと思います。

見積書は最初に提示しよう

誰かが誰かに仕事を依頼する場合、特に重要なもののひとつが予算(見積もり)です。いうまでもなく、金額がフィックスしなければ依頼はできませんし、受ける側にしても困ってしまうのですから。

とはいえ、「予算=見積もり」を出すタイミングはなかなか難しいものでもあります。事実、いつまでも金額を口に出さない営業マンは決して少なくありません。しかし、引っぱって最後に金額を提示した結果、決まりかけていた話がひっくり返るというのもよくある話。

そんな”おかしな常識”が蔓延していることが、著者はどうしても納得できないのだそうです。だから、見積もりをなんとなく企画書の終わりにつけるのはやめましょうと提案しています。理由はいたってシンプルで、”金額が合わなければ、どんな提案も無駄になる”から。

事実、著者はマーケティングや販売促進の企画を提案する際には、必ず金額を最初に伝えるのだそうです。その時点で、クライアント側がイメージしていた金額とあまりにも乖離が大きかった場合、当然ながらその企画が陽の目を見ることはないわけです。

しかし逆に、金額の合意を取らずに進め、最後に金額を示すとします。その段階で「まったく話にならない」ということになったとしたら、参加者全員の貴重な時間を奪うことになります。また、それ以前に、互いに大きなストレスが残ることでしょう。だからこそ、金額は最初に提示すべきだという考え方。そこで合意が取れれば、それ以降は胸を張って説明できるという発想です。(38ページより)

逆説の思考法
金額は言いづらくても先に言う
(40ページより)

「持ち帰って検討します」は、信用を失う魔法の言葉

打ち合わせの際、話がまとまらなかった結果、返事・返答を「持ち帰ります」ということがよくあります。しかし著者は「持ち帰っては絶対にダメだ」と断言しています。その理由は大きく分けて2つ。
まず1つ目は、こちらか持ち帰るといった場合、相手から「決定権のない小者」と思われてしまうから。それでは、まとまる話もまとまらないわけです。そしてもう1つは、「スピード」の問題。もしも「持ち帰って検討します」「持ち帰って、上司に相談してからお返事します」と伝えたら、クライアントは「他を当たる」可能性が高いということです。
仮に見積もりの話だったとしたら、出てくるはずの金額を精査するためにも、相手は必ずといっていいほど、他にも見積もりを依頼するもの。その結果、こちらが出した見積もりよりも低い金額の会社があったとしたら、すんなりと決まらなくなります。他者の金額のほうが低かった場合には、確実に値下げ・値引きを要求されるわけです。
「持ち帰って…」というひとことが、それだけのデメリットをもたらすということ。そこで、持ち帰るという無駄なことをせずに、その場で解答ができたり、最悪でもその場で上司に連絡をして決済を取るなどの”仕組み”を用意すべきだと著者は主張しています。(41ページより)

逆説の思考法
持ち帰るな!
(43ページより)

「3つのT」時間術

著者は基本的に午前中しか、考える仕事や書く仕事はしないのだそうです。つまり、朝一番の脳がクリアな時間に、大切なことを書いたり考えたりすることを終えるということ。これを「アウトプット(OUTPUT)」と呼び、1つ目のTと位置づけているというのです。

そして午後になると、食事も兼ねて外出。人と会ったり、いろいろな店や施設を見たり、本を読んだ地、映画を見たり、街を歩いたり、打ち合わせをしたりするということで、これが2つ目のTである「インプット(INPUT)」の時間。

そして夕方の6時半以降は、一切の仕事、打ち合わせはしないのだとか。仲のよい友人や行きつけのお店の人と、最高の時間を過ごすのだそうです。いわば仕事モードになった頭を、プライベートモードに戻す時間(おわかりかと思いますが、ここからが「タクシーで帰る時間」だというわけです)。つまり「リセット(RESET)」の時間だというわけで、これが3つ目のT。著者はこの、

1. 「OUTPUT」
2. 「INPUT」
3. 「RESET」
(45ページより)

という3つのTによるサイクルを、なによりも大切にしているというのです。なぜなら、この切り替え・リズムが生産性を最大化してくれるということがわかっているから。そのため、例外はあるものの、基本は守るというわけです。

外圧には負けません。
たとえば、緊急にどうしても断れない原稿書きの仕事が入ったとします。
普通は「じゃ、午後からやるか!」となります。
でも私の場合それはしません。
午後に食い込ませると全部が狂うからです。
ではどうするのかというと「早起き」です。
普段は朝8時くらいから書きものを始めますが、突然の仕事の場合は朝6時から始めます。早く起きて、早くスタートすればよい…それだけのことです。
アウトプットは午前中と決めているのだから、それは当然なのです。
このように、自分のリズムを変えないことは重要です。
(46ページより)

もちろんこうした方法は、一般的な勤め人には難しいかもしれません。著者はそれを認める一方で、どんな環境にあっても自分なりの工夫は必ずできるとも記しています。「どうせ無理」と決めつけるのではなく、なにか自分でできることを探してみるのが重要だということ。そこから、幾多の新発見や新たな価値が生まれてくるのだといいます。(44ページより)

逆説の思考法
外圧に自分のリズムを振り回させない
(47ページより)

たしかに物事を逆説的にとらえてみれば、常に新鮮な気持ちでいられそうです。大切なのは、当たり前だと思ってきたことを疑ってみること。そして、そこから新たな一歩を踏み出してみること。そうやって発想を転換させるために、本書を参考にしてみてはいかがでしょうか?

(印南敦史)

元記事を読む

Lifehacker


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