【NGな2つの対応】クレームのループから抜け出すポイントを抑えよう

2018.1.19 08:07 更新

読了時間:8分36秒

お客様からクレームがきたらどうすべき? 絶対にしてはいけない2つの対応


『どんな相手でもストレスゼロ! 超一流のクレーム対応』(谷 厚志著、日本実業出版社)の著者は、その名も「クレーム・コンサルタント」。これまでに2000件以上のクレーム対応を経験してきたという人物です。

そんな仕事に携わるようになってから、業種や職種に関係なく、日本中でクレーム対応に悩む人や苦しんでいる人が多いという現状を痛感しているのだとか。たしかに毎日懸命に仕事をしていても、お客様から褒められることより、怒られることのほうが多いという方も少なくないでしょう。

では、なぜそれほどクレームが増えたのでしょうか? そのことについて著者は、日本には「我慢できない」「順番が待てない」「黙って人の話を聞けない」「自分だけがよければそれでいい」と考える人、いつもイライラしている人、すぐに怒る人が増えているのかもしれないと指摘しています。価値観や評価基準もかつてとは様変わりし、また多様化しているように感じるとも。

しかし、そんな時代だからこそ、クレームに対するネガティブなイメージを取り除き、クレーム対応をうまくできる対応術を身につけてほしいのだといいます。つまり本書は、そんな思いを軸として書かれているのです。

「お客様全員が上品で知性があり、穏やかな方ばかりだったらよいのに…」「自分たちにとって良いお客様とだけ付き合いたい」などと、皆さんは思っているかもしれません。

しかし、クレーム対応という究極のビジネスコミュニケーションを手に入れることができれば、悪魔だと思っていたクレーマーが天使だったことに気づき、自分たちの強い味方、つまり一番のお得意様にすることができると思います。(「プロローグ 怒られるのが超ストレス……クレームは悲劇? それともチャンス?」より)

きょうは、実際にあった著者の失敗体験をベースにした第2章「大火事を招く! アウトなクレーム対応 〜絶対やってはダメなNG対応〜」のなかから、2つのポイントを抜き出してみたいと思います。以下、「私」と表記されている部分が、過去の著者自身の言動です。

「このクレーム、自分のせいじゃないのに」と考えるのはNG

社会に出て仕事をするようになって、理不尽に感じることのひとつが、自分のせいではないクレームに対応しなければならないことではないでしょうか。クレームは、たとえ自分のせいではなかったとしても、組織の代表として対応しなければならないからです。にもかかわらず、かつての著者は次のようなNG対応を繰り返していたのだそうです。

アウトな対応例

私 「部下には『気をつけろ!』となんども、私は指導していたのですが…」

お客様 「じゃあ、あなたは上司として、どう責任を取るおつもりですか!」

私 「(頭が真っ白)それは…、あの…」

(46ページより)

この場合はお客様も「この人のミスではない」「この人のせいではない」とわかってはいたものの、怒りの矛先を上司である著者に向けるしか方法がなかったわけです。にもかかわらず目の前の問題を“自分ごと”として捉えられず、非を認めることなく責任逃れをしてしまったということ。だとすればお客様が、逃げた上司を許さなくてもそれは当然です。

OK対応例

お客様 「おたくの営業マンは無責任だ。工事は即刻中止しろ! ほかの会社に依頼する!」

上司 「当社に無責任な対応があったようで本当に申し訳ございません。私に責任がございます」

(48ページより)

このように逃げることなく、「すべての責任は自分にある」という姿勢を見せたとしたらどうでしょうか? 多くの場合、お客様はその真摯な対応を受け止め、落ち着くことができるはずです。

だからこそ、クレームは初期対応が大切なのだと著者は主張しています。最初の対応がうまくいかないと、結果は必ず悪くなるもの。そこで、「それについては、私どもの部署が窓口ではありませんので…」というように、お客様に不安感や不満を抱かせるような対応をすべきではないということです。

自分のせいではなくても、お客様を嫌な気持ちにさせてしまった事実があったのならば、部署や肩書は関係なく組織の代表として、最初にお詫びする対応を心がけて下さい。クレームから逃げない勇気と、自分事と捉えて向き合う強い心を持ちましょう。(49ページより)

そのクレームは、会社や自分の部下が引き起こしたものかもしれません。けれども、お客様にとっての“相手”はクレーム対応をした人物。そのため、「自分は損をしている」「クレーム対応をやらされている」と後ろ向きに考え、逃げるような態度をとれば対応が余計に長引いたとしても無理はないわけです。なぜなら、逃げれば逃げるほど、お客様の怒りが大きくなるものだから。

しかし、「ここで指摘してもらわなかったら、また同じことが起きるところだった」と自分ごととして捉えられれば、対応時間も短くなることでしょう。クレーム対応において、謝罪は必須のコミュニケーション。謝罪の向こう側に明るい未来が待っていると考えるべきだと著者は言います。(45ページより)

スピード対応を重視して解決策をすぐに出すのはNG

インターネット上のクレーム対応に関する記事には、「迅速に解決策を提示するのがクレーム対応の必須条件」と書かれていることがあります。しかし、著者はこれに賛同しないのだそうです。迅速に対応すること自体に異論はないものの、早く解決策を出すことを最優先と考えるのは危険だというのです。

クレームを早く解決しようとするのは、そのクレームを早く終わらせようと考えているから。つまり、そのトラブルから早く解放されたいという気持ちが強いということであり、いってみれば自分の都合。クレームを早く終わらせることで、自分が楽になりたいだけだということです。しかし、かくいう著者もかつては、早く自分が楽になりたいという思いから、次のように対応していたのだそうです。

アウトな対応例

お客様 「こんな不良品を売っておいて、一体どうするつもり?」

対応者 「はい、すぐにご返金します!」

お客様 「はぁ? 金を返せば済む問題か!」

(70ページより)

この対応の問題点は、お金で解決しようとしていたこと。お客様はお金を返してほしいからクレームをつけているわけではなく、商品やサービスの不具合にガッカリしているからこそ、自分のイライラを止めてほしいと思っているわけです。なのにそんな気持ちを理解しようとせず、お金を返すことでクレームを早く終わらせようとしたなら、お客様が不快に感じても当然だということです。

OK対応例

お客様 「こんな不良品を売っておいて、一体どうするつもり?」

対応者 「せっかくお買い上げいただきました商品に不備があったようで、申し訳ございません」

お客様 「困るよ。使うのを楽しみにしていたのに!」

対応者 「はい。お楽しみいただけず、私どもとしても大変恐縮しております。商品のお取り替えということでよろしいでしょうか?」

お客様 「うん、そうしてくれる?」

対応者 「ご不便をおかけしまして、誠に恐れ入ります。こちらにお掛けいただき、3分ほどお待ち下さい」

(74ページより)

クレーム対応では、お客様がクレームを行ってきた事情を理解しないまま解決策を示すと、お客様をさらに怒らせることになりかねないのだと著者。お客様からしっかり話を聞いて状況を確認してから、解決策を提示。その後、時間をかけて再発防止のためにどうすべきかを考えるべきだということです。(70ページより)

このように、実際にあったエピソードに基づき、すぐに役立てられる具体的なアイデアが豊富に紹介されています。クレーム対応で悩んでいる方は、手にとってみてはいかがでしょうか。

Photo: 印南敦史

元記事を読む

Lifehacker

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