ヘルシーな玄米、実は健康に良いばかりでもないという事実

2017.11.16 14:07 更新

読了時間:5分45秒

玄米は白米よりもどれくらい健康なのか?

Image:JohnCampbell/Flickr

私とガールフレンドは食事のとき、お米を炊きます。問題は、健康にいいという理由で彼女は玄米を好みますが、私はおいしいという理由から白米が好きということ。玄米の方が白米より「ヘルシー」だとされていることは知っていますが、白米好きがわざわざ玄米に切り替えなければならないほど違いがあるのでしょうか。

世の中は茶色のほうが栄養価が高いと思っている

玄米も白米ももともと同じ穀物で、その違いは白米が精米により胚乳以外のすべてを取り除いてある点です。玄米には、胚乳以外に糠と胚芽も残っているので、茶色い外見です。そして、世間では、食べ物は何であれ「茶色」のほうが栄養価が高いと思われています。玄米、小麦パン、小麦パスタなどがその例です。でも、私の食生活は玄米より白米を選ぶせいで、本当に損なわれているのでしょうか。実はそうではありません。その理由を説明しましょう。

玄米はカロリーも糖質も脂肪も白米より多い

玄米は白米より食物繊維と蛋白質を多く含んでいるのがいい点ですが、カロリーも糖質も脂肪も白米より多いのです。数字だけ見ると、白米の方がちょっとだけヘルシーに見えるぐらいです。とは言え、白米の方が血糖インデックスが高いので、消化されるのが速く、血糖値が高くなることからインスリン反応のレベルも高くなります。これは、生活習慣により発病する2型糖尿病の危険性がある人には問題ですが、そうでない人には気にしなくてもいいレベルです。

玄米にはマグネシウム、リン、マンガン、セレニウム、銅、カリウムなどの栄養素が白米より多く含まれています。しかし、白米の多くは、栄養成分が強化されているので、栄養価の点で玄米との差は小さくなっています。ですから、総合的に見ると、玄米も白米もほとんど互角ということになります。現に、1996年にポルトガルで発表された研究で、玄米の方がより多くの栄養素を含有しているにも関わらず、「玄米より白米をベースにした食生活の方が優れているという根拠」はないことがわかっています。

ここで、玄米に含まれていて白米には含まれていないフィチン酸塩について触れたいと思います。フィチン酸は重要なミネラルとの結合親和性が強いので、身体が有益な栄養素を吸収するのを妨げてしまうため、「反栄養素」と考えられています。たとえば、鉄や亜鉛がフィチン酸と結合すると不溶性になるので、腸内で吸収されにくくなります。さらに、Journal of Nutritional Science and Vitaminologyによれば、フィチン酸は、窒素値と蛋白消化率にも影響を及ぼすことが、1987年に日本で発表された研究によりわかっています。

“玄米と白米のどちらを食べても負の窒素バランスになりますが、玄米を食べる食生活のほうが負の度合いが高くなりました。リンのバランスにいたっては、玄米のほうが著しく負のバランスになりますが、その他のミネラルは玄米を食べても特に影響はありませんでした。”

血漿中のコレステロールとミネラルに関しては、白米と玄米でそれほどの差はありません。標準蛋白質摂取量のデータとこうした調査結果を比較した結果、玄米は蛋白消化率と窒素バランスを低下させるという結論に至りました。

米に含まれるヒ素にも要注意です。消費者レポートで、玄米の方が白米よりヒ素の含有量が多いことがわかっています。もちろん白米にもヒ素の痕跡はありますが、玄米のほうが総合的には多くなっています。ヒ素を取り過ぎると、身体に悪いことは間違いありません。

でも、フィチン酸もヒ素も致死量からは程遠く、少しぐらい食べても食生活が完全に損なわれるわけではありません。アメリカ食品医薬品局は、バランスの良い食生活の維持を心がけている限り、どんなタイプの米でも適量なら食べても全く問題は無いとしています。

結局のところ、玄米と白米は甲乙つけがたいということになります。どちらも他方に無い長所がほんの少しだけありますが、目立って特出する点は無く、どちらが健康に良いとも言えません。糖尿病の危険性がある人は、玄米にしたほうがリスクが軽減されることが諸研究により実証されていますが、そうでなければ、どちらを食べても同じです。ですから、玄米でも白米でも食べたいほうを食べてください。

でも、くれぐれも腹八分目にしておきましょう。どちらも食べ過ぎは長い目で見て体に良くありません。というわけで、私は、これからも食事のときは、美味しい白米を食べます。

Image: John Campbell/Flickr

Source: HuffPost, Healthline, The BMJ, NCBI(1, 2, 3), Wikipedia, FDA(1, 2

Patrick Allan – Lifehacker US[原文

(訳:春野ユリ)

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Lifehacker


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