初対面に強くなるマナー

2016.10.8 20:05 更新

読了時間:11分37秒

ビジネスマンなら知っておきたい、「初対面」の相手とのコミュニケーションの作法

エグゼクティブ・プレゼンス

※出典:Lifehacker

「一流の存在感」がある人の気づかいのルール』(丸山ゆ利絵著、日本実業出版社)の著者は、日本で初めての「プレゼンス・コンサルタント」。「エグゼクティブ・プレゼンス」を身につけること、磨くことを目的とした個人コンサルティング、トレーニング、企業研修を手がけているという人物です。

でも、あまり聞き馴染みのない「エグゼクティブ・プレゼンス」とは、いったいどのようなものなのでしょうか?

「エグゼクティブ・プレゼンス」とは、社会的な地位や職位の高い人、プロフェッショナルに求められる雰囲気を指します。威厳や重厚感、品格や落ち着き、堂々とした態度、器の大きさと言えばイメージしやすいでしょうか。つまり、人の上に立つにふさわしいオーラや「一流の存在感」です。(「なぜ、一流は人の心をつかむのか?—-はじめに」より)

なお、その柱となるものが3つあるのだといいます。まずひとつめは「外見の印象」で、姿勢や服装はもちろん、声や話し方、動作なども大切。2つめは、「対人コミュニケーション力」。なぜならそれは、仕事の要である説得力や長期的な影響力を高めるために必要だから。そして3つめは「自己認識」。自己への理解を深めれば深めるほど信念が固まり、自分の言動に筋が通るのだそうです。そして、これら三つの要素のなかでも「一流の存在感」を根づかせ、継続させていくのに重要なのがコミュニケーションの力。特に人への「気づかい」をどのように示せているかが大切だといいます。

前著『「一流の存在感」がある人の振る舞いのルール』(日本実業出版社)に次ぐ新刊である本書は、人の上に立つ人たちに、その職位、専門性、企業の格にふさわしい「人の心をつかむコミュニケーションの秘訣」を、気づかいという観点から紹介したもの。そんな考え方を踏まえたうえで、きょうは第2章「相手の記憶に残る初対面の作法」を見てみましょう。

男性にも年齢を聞かない

職位が高くなるにつれ、人と知り合う場面も多くなるもの。しかし、そこで社交的に振る舞えなかったり、「知らない人との雑談が苦手だ」と人知れず悩んでいる人が多いのだといいます。たしかに、会話が続かないとお互いに気まずく感じますし、「とっつきにくい」「おもしろくない」というような印象を持たれたらマイナスになってしまいます。

また、「聞き上手は雑談上手」といわれますが、聞き方を間違えて失敗しないようにすることも大切。特にプライベートな情報に触れると「(不躾)ぶしつけ」と感じる人は多いので、注意が必要だということです。

プライベートな情報とは、いわゆる「個人情報」に該当しそうなこと。具体的にいえば、「おいくつ」「何年生まれ」「どちらの出身」「どこに住んでいる」「結婚しているか」「お子さんは」などがそれにあたるそうです。もちろん、話の流れや雰囲気もあるので一概には不適切だとはいえないものの、少なくとも初対面での話題としては慎重に考えたほうがよいということ。個人情報を聞くという行為は、相手の個人的な領域に踏み込むものであり、まだあまり知りもしない相手に対し、挨拶代わりに聞くようなものではないわけです。

だから、一流の雰囲気を感じさせる人はマナーとして、お互いにあまり知らない段階でプライベートな事柄にタッチすることはないのだと著者はいいます。相手との距離感をはかりながら、「お聞きしてもいいですか?」と柔らかい言葉を選び、相手の反応を見てから慎重に話題を選んでいくことが重要だというのです。

ところが話題選びに失敗する人は、意識を「話題になりそうなネタ探し」にフォーカスしがち。相手との話を続けたい一心で、相手との距離感への配慮をおろそかにし、思いつく質問をしていったしまうわけです。特に「年齢」はその典型。しかし一流の人は、年齢よりも人間性や能力にフォーカスする意識が高いものだそうです。

繰り返しますが、話の流れや雰囲気で「プライベート」に対する厳格さは変わります。「年齢を聞くな」と一概には言えません。お互いが同じ年代だったとわかったことで感じる共感は、一気に距離感を縮めて意気投合するのに役立つこともあります。結婚のことでも、子供のことでも、出身地でも学校でも、(中略)それが相手とコミュニケーションを深めるのにひと役も二役も買うことは少なくありません。(47ページより)

とはいえ、相手が許可していない領域にいきなり踏み込むのは要注意。そのため、相手の反応や表情に注意して会話を進めることが大切なのだと著者はいいます。(42ページより)

本人よりも上手に「紹介」する

ポジションが上がると、業界の会合やパーティなどに出席する機会も増え、普段コミュニケーションに苦労していなさそうな人でさえ、「もう少し社交的になりたい」と思うものなのだそうです。

ちなみに「社交的」のイメージはだいたい3つだとか。まず、どんな場所でも堂々といられる、人とさっと打ち解け会話を楽しめる、そして、自然に人の輪のなかにいるようなことが多いということ。なお自然に人の輪のなかにいる人は、知り合いが多いだけではなく、いろいろな人から慕われている人ばかりですが、そうした人の特徴のひとつは、「人の紹介が上手である」ということなのだそうです。

人に人を紹介するときは、当事者たちに事前確認をとることが「紹介のマナー」のひとつ。いきなりお互いを引き合わせると、なにかの事情で気まずい場面になることも少なくないので、以外と大事なことなのだといいます。そのマナーにのっとって、さらりと振る舞えるところに洗練された雰囲気が漂うということ。

そして紹介上手な人は、その人の長所をほめながら紹介するもの。その人のよいところにスポットライトを当てて、それを強調してくれるというのです。人のよい面を見つける目が肥えており、さらによく聞こえるいい方・ほめ方が身についているのだそうです。

だから紹介上手な人に紹介されると、お互いにとても素晴らしい人に感じ、自然とコミュニケーションに積極的になるもの。そのため、友好的な雰囲気が生まれやすくなるというわけです。また、紹介相手のお互いの評価が高くなれば、「うまく顔つなぎができる」と紹介者自身の評価も上がるとか。結果的に、人をほめながら紹介することは、自分に権威を与えることにもつながるということです。

紹介上手な人は、ほめ言葉だけでなく、名前だけではわからない周辺情報をきちんとおりまぜるもの。たとえば、「たしかふたりとも大学が一緒だよ」など、双方の共通点を把握しているということです。すると「え、そうなんですか?」と、さらに親しみが増して話しやすくなって当然。

人は自分と似た人間をもっとも好むものなので、お互いの共通点を早めに見出せれば、打ち解けるスピードも速くなるわけです。また、「自分との関係性」についてきちんと伝えておくのも効果的。紹介されている人とは、いつどんなところで知り合ったのか、どんなつきあいかといったことを知らせておくと、知り合った人同士はお互いの状況がよくわかり、会話の糸口も見つけやすくなるということ。そして、そんな紹介ができる人には、当然のことながら恩義を感じる人が増えていくことになります。そこで、顔も広くなっていくわけです。

しかし著者は、そのように素敵な紹介の場面がある一方、「惜しい」と感じる場面もまた多く経験してきたのだそうです。一番惜しいのは、「あ、紹介しますね。この人は○○さん」というように、「紹介する人の情報がない、足りない」ということ。

名前を紹介するだけでは、紹介になりません。パーティや会合などで、名前だけ紹介して「あとはお二人で」というような紹介のされ方では、なにを話したらいいのか、名刺は出すべきなのか、迷ってしまって当然。そのため、プライベートな場面ではともかく、ビジネスではマナーとしてもいただけないといいます。

・事前に紹介していいか確認をとる
・相手を肯定しながら(ほめながら)紹介する
・紹介した人同士の共通点などの「情報」を添えてあげる
・お互いにとって価値あるコミュニケーションの場にしてあげる

これらは、一流の人がしている「感謝される紹介の仕方」のポイントだといいます。

さらに「紹介しようと思った理由」が相手に伝わると、紹介された人同士がお互いにコミュニケーションをとりやすくなるとか。「どちらもおもしろいビジネスをしていらっしゃるので、なにかおもしろいことにならないかな、と思って」など、ちょっとした思いつきのようなことだけでも、「だから紹介してくれたのか」とわかります。そのため、会話にも意味が出てくるということ。「ビジネス・マッチング」がうまい人には、こういったヒントを授けてくれる人が多いというのです。

なお、紹介の仕方が大切なのは、パーティなどの特別な場面だけではないそうです。むしろ日常の顔合わせ、名刺交換の場のほうが大切なのだと著者はいいます。

たとえば、新しく担当のひとりになった部下を取引先に紹介する場面。日本人は身内をほめるのが苦手だといわれますが、だからと言ってそこで、「いやぁ、頼りない人間ですが」などと「おとし」てはいけないということ。頼りない人間を外の人間に担当として紹介するとしたら、紹介者は管理者としての資質を疑われることになるからです。

よいところは、しっかりほめることが大切。不足と思うところは素直に伝えてよいそうですが、その代わり、きちんとフォローを入れることが必要になるわけです。

「~という点では社内でも信頼を集める人間です。まだ経験は浅いですが、その点は社内でバックアップしておりますので、ご安心ください。本人もやる気があるので、すぐに心配はなくなるはずです。これからどうぞよろしくお願いします」

このように、しっかり情報を伝えて縁をつなぐ紹介の仕方ができれば、相手の期待、部下のモチベーションが上がり、双方からの信頼や感謝に必ずつながるといいます。(48ページより)


さまざまな「ルール」が実践的に解説されているため、実際のシチュエーションに応用しやすい内容。「気づかい」の基本を再確認するためには格好の1冊だといえます。
(印南敦史)

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Lifehacker
 

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