アイデアが出なくて困ったら

2016.9.23 08:05 更新

読了時間:9分35秒

アイデアは寝かせよ。創造性を生み出す5つのステップ

アイデアは寝かせよ。創造性を生み出す

※出典:Lifehacker

すばらしいアイデアは、その大半が、ある共通した創造の過程から生まれています。この記事では、それがいったいどのような過程なのかを説明していきます。創造的思考は、人生で最も役に立つスキルの1つですから、ぜひ理解しておきたいものです。創造的解決策や、ラテラルシンキング(水平思考)、革新的アイデアは、あなたが仕事、生活で直面するほぼすべての問題の解決に有効なのです。

誰でもこの5つのステップを使って、クリエイティブになることができますが、だからと言って、創造的思考が簡単だということではありません。自分のなかの創造的才能を見いだすには、勇気と多くの訓練が必要です。しかし、この5段階アプローチは、創造の過程のわかりにくさを取り除き、より革新的な考え方の道筋を照らしてくれるはずです。

では、この過程がどのようなものかを説明するために、短いストーリーを紹介しましょう。

 

創造的解決策が必要な問題

1870年代、新聞社や印刷会社を悩ませていた、ある手痛い問題がありました。当時は、写真が新しい媒体として脚光を浴び、もっと写真を見たいという読者のニーズが大きかった反面、写真を早く安く印刷する方法を誰も考えつかなかったのです。

1870年代当時は、たとえば新聞社がある写真を印刷しようとしたら、写真を金属板に手彫りする作業を彫刻師に依頼しなければなりませんでした。この凹版に上から紙を押し当てて画像を転写したのですが、数回行っただけで版が壊れてしまいました。この写真製版の手法は、途方もない時間とお金がかかったのです。

この問題の解決策を見いだしたのがFrederic Eugene Ivesという人物です。 彼は、その後も写真の分野で先駆者として活躍し、70以上の特許を取得しました。これから紹介する彼の創造性とイノベーションは、ケーススタディとして、創造の過程の5つのステップを理解するのに役立つでしょう。

突然のひらめき

Ives氏は、ニューヨーク州イサカにある印刷会社の見習いとしてキャリアをスタートさせました。そこで印刷工程の一部始終を2年間学んだ後、コーネル大学で写真研究所を運営し、その後約10年にわたって、新しい写真技術の実験や、カメラ、印刷機、光学の研究をしました。

1881年、Ives氏は、印刷技術の向上に関するひらめきを得ます。そのときのことが、ある本でこう語られています。

私は、イサカで写真鉛版の工程を手がけながら、ハーフトーン印刷の問題を研究していました。ある晩、その問題で頭がもやもやした状態で床に就いたのですが、朝目が覚めた瞬間、完璧に計画された工程と、稼働している機械の画像が、天井に浮かび上がったのです。

Ives氏はさっそくこのビジョンを実現化し、その印刷手法の特許を1881年に取得しました。そして約10年を費やして改良を重ねます。1885年には、簡略化され、さらにより良い成果が出る工程を発見しました。後にアイブス・プロセスと呼ばれるようになったその工程は、印刷にかかるコストを15分の1に抑え、その後80年間にわたって、印刷技術のスタンダードであり続けたのです。
では、創造の過程について、Ives氏から何を学べるのかという話題に移りましょう。

創造の過程の5つのステップ

1940年に、James Webb Youngという広告会社幹部が『アイデアのつくり方』という短いガイドブックを出版しました。その本には、創造的なアイデアを生み出す方法について、シンプルですがとても重要なことが書いてあります。

Young 氏によると、革新的なアイデアが生まれるのは、既存の要素の新しい組み合わせを考えついたときだと言っています。つまり、創造的思考とは、新しいことをゼロから生み出すのではなく、既存のものを、これまでにないコンビネーションで組み合わせることだというのです。

最も重要なのは、新しい組み合わせを考え出す能力は、異なる物事同士の関連性を見つける能力にかかっている、ということです。2つの既存のアイデアに新しい関連性をつくり出せれば、創造的なことができたと言えるでしょう。

創造的な関連性をつくり出す過程には、必ず、以下の5段階があるというのが、Young氏の考えでした。

1.資料を集める:まず、学ぶことです。この段階では、まず仕事に直接関連した資料で学び、その後、多様な考えに触発されるべく、一般的な資料で学びます。

2.資料を頭の中で咀嚼する:この段階では、事実をさまざまな角度から見たり、アイデアのさまざまな組み合わせを試したりすることで、自分の学んだことを検討していきます。

3.アイデアをあえて寝かせる:次に、そのことを頭のなかから完全に追い出し、まったく違うことをします。ワクワクして、充電になるようなアクティビティを楽しみましょう。

4.アイデアが戻ってくるのを待つ:そのことを考えない時間を費やすと、ある時点で、アイデアが、ひらめきと、リフレッシュしたエネルギーとともに戻ってきます。

5.フィードバックによってアイデアを具体化・発展させる:アイデアを成功させるには、世間にリリースし、批判にさらして、必要な改良を重ねていかなければなりません。

アイデアを実用化

Frederic Eugene Ivesが使った創造の過程は、上記の5つのステップのすばらしい実用例です。

まず、Ives氏は、資料を集めました。印刷会社の見習いとして費やした2年間と、コーネル大学で研究所を運営した4年間がそれにあたります。こうした経験で得た多くの資料が、後で役に立ったのです。写真と印刷が結びついたのもそのおかげです。

第2のステップとして、Ives氏は、学んだことのすべてを頭の中で咀嚼し始めました。1878年には、ほぼすべての時間を新技術の実験に費やしていました。アイデアの組み合わせをいろいろと試し、常に試行錯誤を繰り返していたのです。

第3のステップで、Ives氏は、アイデアを寝かせています。彼の場合、数時間の睡眠をとった後に、ひらめきが起こりました。もっと長い時間創造的な問題を放置しても効果的です。どのくらいの時間距離を置くにしても、自分が興味をもち、問題のことを頭から消し去ってくれるようなアクティビティをする必要があります。

第4のステップでは、アイデアがひとりでに戻ってきました。Ives氏が目を覚ますと、問題の解決策が目の前に現れたというのです(私個人の場合は、眠りに就く前の横になった状態のときに創造的なアイデアが湧いてくることが多いです。脳を1日休ませると、解決策が浮かんできやすくなります)。

最後のステップで、Ives氏は、何年もかけてアイデアの手直しを続けました。実は、発明した技術に、あまりにも多くの改良を加えたため、結局別の特許を申請することになったほどです。このステップは非常に重要な局面でありながら、見過ごされることが多いのです。最初のアイデアに酔ってしまいがちかもしれませんが、すばらしいアイデアは、進化を続けるのです。

創造の過程のまとめ

創造の過程とは、既存のアイデア同士を新しく結びつけるという行動です。つまり、創造的思考とは、概念同士の関係性を認識する作業だと言えるのです。

アイデアとは、連想の産物であり、その極みが優れたメタファーだ。
―― Robert Frost

もう一度まとめます。創造的な課題に取り組む際は、以下の5つのステップに従うという方法があります。

1)資料を集める

2)頭の中で十分に咀嚼する

3)あえて距離を置いて寝かす

4)アイデアが自然に戻ってくるのを待つ

5)アイデアを実社会で試して、フィードバックに基づいて調整を重ねる

創造的であることは、あるアイデアの最初の(あるいは唯一の)考案者になることではありません。創造性で大事なのは、アイデア同士の関連づけである場合のほうが多いのです。
For a More Creative Brain, Follow These 5 Steps | James Clear

James Clear(原文/訳:和田美樹)
Photo by Shutterstock

元記事を読む

Lifehacker
 

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