企業ブランディングで注目の「ナラティブ」型アプローチとは?

2022.4.22 17:00 更新

読了時間:3分54秒

企業のブランディングやPR、マーケティングの分野で「ナラティブ」という言葉が注目を集めています。「ナラティブ」は企業のコミュニケーション戦略で今後重要になるだろうと考えられている概念で、これまで注目されてきた「ストーリー」に替わる手法だと言われています。ナラティブの意味、またナラティブとストーリーの違いについて見ていきましょう。

「ナラティブ」とはどんな意味?「ストーリー」との違いは?

「ナラティブ(narrative)」とは英語で「物語」「語り」「話術」などと訳されます。「ナレーター」や「ナレーション」も「ナラティブ」という言葉から広がったものです。「ナラティブ」はもともと1960年代から文芸理論の中で使われている用語でした。「ナラティブ」はある物事について、ひとりひとりが主体となって自由に語ることを指します。 「ストーリー」は物語の内容やシナリオのことです。主人公や登場人物を中心に起承転結が展開されます。それに対し「ナラティブ」は語り手自身が紡いでいく物語です。主人公は登場人物ではなく語り手となる話者自身になります。また、「ストーリー」のように物語が完結することなく、変化し続けるという点も特徴です。 たとえば、小説や映画、ドラマなどは起承転結のある「ストーリー」ですが、自らの選択でシナリオや結末が変わるロールプレイングゲーム(RPG)やシミュレーションゲームはナラティブと言えるでしょう。 この考え方を企業ブランディングやマーケティングに当てはめると、「ストーリー」が企業側がユーザーへ一方的に語る物語であるのに対し「ナラティブ」は、企業がユーザーとともに作り上げる物語ということになります。

マーケティングで「ナラティブ」が注目されている理由

今までマーケティングでは主に「ストーリー」型のアプローチが採用されてきましたが、最近は「ナラティブ」型のアプローチが注目されています。ナラティブが注目されるようになった背景のひとつには、インターネットによる情報の多さとSNSの普及があります。インターネットに常時アクセスできる現代社会では、人々が日々接する情報の量は増え続けています。その結果、どの情報が事実でどれが虚構なのかが判別するのが難しくなっています。企業から一方的にストーリーを開示するだけではユーザーを満足させられないだけでなく、企業が発信したストーリーが意図しない解釈をされて炎上してしまうリスクもあります。それに対して、「ナラティブ」型のアプローチでは企業側からの一方的な発信ではなくユーザーが自分の体験を発信します。「ナラティブ」型のアプローチは、SNSが普及した現代で受け入れられやすい手法となっているのです。

ナラティブ型アプローチのメリット

「ナラティブ」型のアプローチでは、ユーザーが主人公となり、ユーザーそれぞれの視点でさまざまな物語が語られます。企業から発信されたナラティブなメッセージに触れたユーザーは「この商品やサービスを自分自身の生活に取り入れたらどうなるか」と、自分だけの物語を思い浮かべます。感情移入したユーザーが自らの言葉で語られるポジティブなメッセージが、その先のユーザーへと波及してjくため、好感が得られやすくなるというメリットがあります。また、画一的な「ストーリー」では届かなかった層にまでメッセージを届けることが可能になります。

まとめ

SNSの浸透によって企業からの情報発信にも変化が生まれています。一方的な情報発信ではなく、ユーザーを主人公にして物語を共有する「ナラティブ」は、今後マーケティングにおいて大きな可能性を秘めた手法と言えるでしょう。

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