敏感すぎる人におススメ。“他人軸から自分軸”へ変えるためのメソッド

2017.10.21 18:07 更新

読了時間:11分43秒

他人軸から自分軸へ。「敏感すぎる人」が自己肯定感を高めるためのコツ

Photo: 印南敦史

敏感すぎるあなたが7日間で自己肯定感をあげる方法』(根本裕幸著、あさ出版)の著者は、心理カウンセラーとして17年間にわたり、のべ2万人におよぶ人々の心と向き合ってきたという人物。ところが社会人になったばかりの20年前には、自己否定感に苛まれていたのだそうです。そして、そのような実体験を軸として書かれた本書は、当時の著者自身のような人に向けて書かれているのだといいます。

“・ 周りの顔色を常にうかがってビクビクしている

・ 他人の評価が気になってしょうがない

・ 相手にどう思われるか気になって言いたいこと(自分の意見)が言えない

・ 嫌われないために、何でも頼まれたら引き受けてしまい、断れない

・ 人と会った後、どっと疲れてしまう

・ 自分の意見を求められると頭が真っ白になってしまう

(「プロローグ」より)”

著者はこのような人を「敏感すぎる人」と呼んでいますが、そんな人にこそ必要なのは、「他人軸ではなく、自分軸で考えられるようになること」なのだとか。

“「他人軸で生きる」とは、他人の考えや価値観を基準に自分の言動を決めることです。(中略)他人軸で生きていると、自分の考えや行動を他人のさまざまな価値観に合わせることになるので、振り回され、疲弊してしまいます。

逆に「自分軸で生きる」ことは、自分の心の声に従って生きるということです。自分らしく生きることで、自分の心を犠牲にしない生き方です。

「他人軸から自分軸へ」これが本書のテーマです。

(「プロローグ」より)”

そして、もうひとつのテーマが「自己肯定感」。いうまでもなく、ありのままの自分を認めることですが、自己肯定感をあげると心に余裕ができ、自分に自信が持てるというわけです。つまり、「自己肯定感」と「自分軸で考える」は車の両輪。自分らしく生きるためには、自己肯定感をあげることと自分軸で考え行動することが欠かせないという考え方。

そこで本書では、敏感すぎる人が自己肯定感を高め、他人軸ではなく自分軸で考えられるように、7日間のプログラムを紹介しているのです。ここでそのすべてをご紹介することはできないので、4日目「自己肯定感を高める」から、いくつかの要点を抜き出してみることにしましょう。

最近、人から褒められたことを思い出す

他人軸で生きていた人が自分軸で生きるためには、ただ意識を自分に向けるだけではいけないのだと著者はいいます。自分に意識を向けたうえで、「自己肯定感」を高めていく必要があるというのです。いうまでもなく自己肯定感とは、「自己=ありのままの自分」の「肯定感=認めている気持ちや感情」のこと。

自己肯定感の高い人は、なにかうまくいかないことがあったとしても「ま、そういうときもあるさ」と考えて自分を責めないもの。「間違ったことをしたな」と思ったら素直に謝り、反省し、同じミスを繰り返さないように気をつけるということです。一方、自己肯定感の低い人は、自分を肯定できず、自己否定感が強い人。

つまり生き方の軸を自分に置けない、敏感すぎる人そのものだということ。しかし自己否定が強いと、いつも自分を悪者にして「自分がいけなかった」「なにか足りなかったんじゃないか」「人に迷惑をかけてしまった」というように自分を責めてしまうわけです。

自己肯定感が低い人は、常に自分のダメなところを探す癖があるそうです。そして、たとえ人から褒められたり認められたりしても、少しでも否定されたり批判されたりした部分があると、そちらに意識をフォーカスしてしまうというのです。しかも敏感すぎる人のなかには、褒められたことすら覚えていない人も。自分を褒める言葉は無意識のうちにスルーして、自分を責める言葉だけを受け止めてしまうということですが、たしかにそれでは自己肯定感を高められなくて当然です。

そこで著者は、「最近人から褒められたことはないか?」と改めて考えてみることを勧めています。「褒められた記憶なんてない」と感じるかもしれませんが、自己肯定感が低いために、肯定してくれた言葉を無意識のうちにスルーしてしまっている可能性もあるからです。(116ページより)

自分の価値を瞬時に知る方法

自己肯定感が低いと、「自分の価値」に気づけないもの。それどころか、自分に価値があるのかわからないという感覚のほうが近いといいます。敏感すぎる人は他人軸で生きているため、他者評価がすべてにおいて優先されます。他の人に認められて初めて、自分には価値があると感じるわけです。にもかかわらず自己肯定感が低く、自分を責めてばかりいるため、褒められても否定し続けることに。しかしそれでは、いつまでたっても自分の価値を知ることはできません。

では、自己肯定感の低い人が自分の価値を知るためには、どうしたらいいのでしょうか? このことに関して著者は、自分のまわりにいる人を思い浮かべてみることを勧めています。たとえばまわりに、前向きで明るく、何事にもチャレンジしていく人が多いとします。それは、自分自身の魅力だというのです。これは「投影の法則」という、心理学の基本的なルールを使った魅力発見法なのだそうです。

「自分にないものは人には見えない」という考え方。つまり「まわりの人がやさしいな」と感じたとしたら、それは自分自身のなかにも優しさがあるということ。否定したくなる気持ちは理解できるけれど、それを認めていない(認めたくない)自分がいるだけで、それは真実なのだと著者は強調しています。(121ページより)

自己肯定感を高めるためにまずすべきは、自分の感情を否定しないことだといいます。なぜなら、素直に感じたことを否定することは、ありのままの自分を否定することにつながるから。というのも、敏感すぎる人は自分の素直な感情を否定してしまうことが少なくないそうなのです。

たとえば、職場に苦手な人がいるとします。その人はなんでも言いたいことを言い、感情が顔に出るタイプ。そういう人は表裏がないように見られるため、意外と人気者になるケースが多かったりもします。ところが人に気を使って言いたいことを我慢してしまう側は、その人のことをとても苦手に感じてしまうわけです。

そんなとき、自己肯定感が低い人は「苦手に感じている自分」を否定してしまいがち。しかし、どう感じたとしても、感じてしまったものは、たとえ他の人と違っていたとしても真実であることに変わりはありません。そこで「まわりの人はなんとも思っていないみたいだけど、私はなぜか嫉妬しちゃうんだよなあ」と、まずは湧き上がってくる感情をそのまま受け入れることが大切だというのです。

湧き上がってきた感情をそのまま認められるように、著者は「感情は天気みたいなもの」という表現を使うそうです。たとえば楽しみにしていたデートの日でも、雨が降ればそれが真実。雨が降るのを止めることはできないわけです。つまり、どんな感情でも、雨が降っているから傘をさすのと同じように、まずはただそれを受け入れるしかないということ。敏感すぎる人はなかなかそれができないものでもありますが、「嫌なものは嫌、いいものはいい」と自分の気持ちに素直になってみるべきだと著者は主張しています。(124ページより)

落ち込んだときに、自己肯定感を高める2つの言葉

ありのままの自分を認めるということは、自分がいいと思う部分も、悪いと思う部分も認めること。そして、いい自分も悪い自分も認めるポイントは、「これが私だから」「これも私だから」という姿勢を持つことなのだといいます。具体的には、自分のいい部分を見つけたら、「これが私だから」と心のなかで唱えてみる。逆に自分の悪いと思う部分を見つけたら、「これも私だから」と心のなかで唱えるといいというのです。

なお、これは仕事がうまくいったとき、うまくいかなかったときにも応用できるそうです。仕事で褒められたり、成績が上がったり、思いどおりに商談が進んだりしたら、「これが私だから」と唱える。逆に失敗したり、怒られたりしても「まあ、これも私だから」と唱えてみる。そうすることで、自分を否定する癖をいっときやめることができるのだということです。(130ページより)

著者は、自信とは「経験×自己肯定」という方式で成り立っていると考えているのだそうです。どれだけ素晴らしい経験をしても、それを自分が認めてあげなければ、逆に周囲からどれだけ認められても自分がそれを受け入れなければ、自信にはつながらないという考え方。そこで、どんな小さな経験でもいいので、自分に対して「本当によくがんばった!」と言ってあげてほしいのだといいます。

“・ お母さんの愚痴を一生懸命聞いて励ましてきた

・ 夫婦喧嘩が絶えない両親の間に入っていつも仲介していた

・ 精神的に弱いお母さんをがんばって支えてきた

・ 親の期待に応えようと一生懸命勉強して大学に行った

・ みんなに迷惑をかけないように、ブラスバンドの練習をがんばった

・ 失恋して辛かったけど、がんばって仕事に行った

・ 仕事が終わらなくて徹夜してなんとか資料を仕上げた

・ 会社を辞めたいという後輩の話を深夜まで聞いてあげた

・ お父さんが病気になったとき、仕事をやりくりしながら病院通いをした

・ 恋人が資格試験を受けるのでがんばって応援した

(139ページより)”

このような自分に対して、「本当によくがんばった」と言ってあげてほしいというのです。注目すべきは、この「経験」には結果が伴っていなくてもかまわないという点。残念な結果になっていたとしても、それだけ一生懸命その人の力になろうとし、期待に応えようとし、誰かのために自分を犠牲にしてきたのであれば、それはとても素晴らしいこと。だからこそ、それをただ認めるだけで自分に自信が持てる、いわば、自分軸で生きる力になるというわけです。(138ページより)

実際には「今の自分に意識を向ける」からスタートし、以後は「過去を見つめなおす」「過去の家族関係を見つめなおす」、今回ご紹介した「自己肯定感を高める」、「自分のペースで人間関係を築く」「敏感であることを強みにする」「自分が本当にしたいことを実現する」という順序で話が進められていきます。その結果、一週間がすぎたころには自己肯定感が上がっているというわけです。自分のことを「敏感すぎる」と感じている人は、読んでみてはいかがでしょうか?

印南敦史

元記事を読む

Lifehacker


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