「新NISA制度」がかなりイイらしい。今の制度とどう違う?

2023.8.17 11:19 更新

読了時間:11分2秒

最近、「NISA」周りが騒がしい。なんでも、2022年12月に公表された「令和5年度税制改正の大綱」によって、新しいNISA制度が2024年から開始するというのだ。どうやら、新NISA制度は、これまでのNISA制度よりもかなりイイらしい。でもいったい何がどう変わるのか?そこで、新NISA制度と今のNISA制度との違いを確認しつつ、新NISA制度のメリットと注意点について調べてみた。新NISA制度がはじまる2024が来る前に、今のうちにそのポイントをおさえておこう。

そもそもNISAとはどんな制度のこと?

そもそもNISAってどんな意味だっけ・・・と思っている人も多いはず。その意味からおさらいしよう。NISAとは「少額投資非課税制度」のこと。通常、株式や投資信託などに投資すると、売却でえた利益や配当に対して約20%の税金がかかる。つまり、儲けから20%は国のお金になるというわけだ。だが、NISA制度は利益が非課税。つまり儲けを丸ごと自分のものにできてしまうというわけ。

たとえば、通常の口座で株式や投資信託を運用して、50万円の利益が出たら、約20%の10万円ほどが税金として引かれてしまうが、NISA口座なら50万円がそのまま自分の利益になる。これは確かにお得だ!

ちなみに、この非課税というメリットは今のNISA制度でも適用される。では新NISAは今のNISAと何が違うのかについて見ていこう。

「新NISA制度」で良くなったポイントは?

新NISA制度は今のNISA制度よりもイイ部分がいくつもあるらしい。それぞれ良くなったポイントについて見ていこう。

一般NISA(成長投資枠)とつみたてNISA(つみたて投資枠)が併用できる!

今のNISA制度には、大きく分けて「一般NISA」と「つみたてNISA」の2つがある。でも、「一般NISA」と「つみたてNISA」両方は使えず、どちらかひとつを選択しないといけない。しかし、新NISA制度では、一般NISAは「成長投資枠」、つみたてNISAは「つみたて投資枠」という2つの枠に変わり、2つを併用することができるようになるのだ。つみたてNISAをやっているから一般NISAはできない…と思っていた人にはチャンスだ!

年間投資上限額が大幅に拡大、最大360万円に。もっとアグレッシブに投資できる!

さらに、今のNISA制度では、「一般NISA」「つみたてNISA」とそれぞれ投資額に制限があった。具体的には、「一般NISA」の年間投資上限額は120万円、非課税保有期間は5年間。「つみたてNISA」は年間投資上限額が40万円、非課税保有期間は20年間。これが、新NISA制度では、「成長投資枠」は年間240万円、「つみたて投資枠」は年間120万円、合計360万円までの投資が可能となる。「成長投資枠」と「つみたて投資枠」は併用することができるため、最大で年間360万円投資が可能。つまり、投資できる金額がかなり大幅に増えたのだ。

 たとえば、現行のつみたてNISAで年間上限投資額である40万円をギリギリまで使おうとすると、毎月最大33,333円を積み立てる計算だが、新NISA制度では、毎月最大10万円の積み立てが可能になる。投資額が増えることでさらに大きなリターンも狙える。これも大きなメリットといえるだろう。

制度の恒久化と非課税保有期間の無期限化。窮屈な縛りがなくなった!

今のNISA制度では、そもそも口座を持てる期間にも制限があった。「一般NISA」の投資可能期間(口座開設期間)は2023年まで、つみたてNISAは2042年までだ(新制度が開始するため、現行のNISA制度での投資可能期間は2023年までとなった)。それが、新NISA制度では、この期限自体が撤廃され恒久化されるのだ。

さらに、先ほど書いたように、現行のNISA制度では、「一般NISA」では5年間、「つみたてNISA」では20年間の非課税保有期間が決められていたため、非課税期限が終了したら売却したり課税口座に移したりする必要があった。しかし、新NISA制度では、非課税保有期間が「成長投資枠」「つみたて投資枠」ともに無期限になるのだ。つまり、いつになったら売却しないといけない、など気にすることなく、長期で保有できるようになっただけでなく、いつでも必要に応じて売却・購入ができる。投資戦略を立てるのにとても使い勝手が良くなった。…というか、口座を持つ期間に制限があるというのは非常に扱いにくい。今までがとても窮屈な制度だったと言わざるを得ない。解放されてよかった!

最大1,800万円の「生涯非課税限度額」が新設。非課税限度額が大幅アップ!

ここで、新NISAにしかない制度について説明しよう。今のNISA制度には非課税限度額という概念はない。ただ、参考値として、年間投資上限額と非課税保有期間から実質的な非課税限度額を割り出すと、次のようになる。

【一般NISA】120万円(年間投資上限額)×5年間(非課税保有期間)= 600万円【つみたてNISA】40万円 (年間投資上限額)× 20年間 (非課税保有期間)=800万円

この非課税限度額が、新NISA制度では、「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の合計で成人一人あたり1,800万円までと大幅に引上げられるのだ(この非課税限度額は生涯利用できるため、「生涯非課税限度額」とも言われる)。ただし、この限度額のうち、「成長投資枠」で投資できるのは1,200万円までという制限があるため注意しよう。
ちなみに、この「生涯非課税限度額」は「簿価残高方式」で算出されるため、運用で得た評価額ではなく、購入した時の価格がいくらかによって決まる。たとえば、新しいNISA口座で300万円の投資商品を購入すると、1,800万円のうち300万円分の枠を使い、残りの枠は1,500万円になる。もしこの300万円が運用によって450万円に増えたとしても、投資できる残りの枠は、1,350万円に減ることはなく1,500万円まで投資ができるというわけだ。

非課税投資枠の再利用が可能。投資の自由度が高くなった!

現行のNISA制度では、保有している商品を一旦売却すると非課税投資枠は再利用できない仕組みだったが、新NISA制度では、売却した金額分の枠の再利用が可能だ。そのため、年間の投資枠(「成長投資枠」240万円+「つみたて投資枠」120万円=合計360万円)の範囲内で再投資をすることもできるのだ。これもかなり自由度が高くなったといえるだろう。

今すでにNISA口座を持っている人は、生涯非課税限度額がアップ。ちょっとお得

さて、今すでにNISA口座を持っている人の話をしよう。2023年時点でNISA口座を持っている人は、2024年からNISAを始める人よりも少しお得になる。というのも、今の「一般NISA」には5年間の非課税期間があり、「つみたてNISA」には20年間の非課税期間があるが、この現行の2つのNISAと「新しいNISA」は別々に管理されるのだ。つまり、今持っているNISA口座での非課税期間はそのままに、新NISA制度の非課税限度額が追加される仕組みだ。

たとえば、「つみたてNISA」を2023年に始めて40万円を投資した場合、この40万円分は20年間非課税で運用することができ、さらに2024年1月以降も1,800万円分をプラスして投資することができる。

2024年の新NISA制度を前に、駆け込みで2023年のうちにNISA口座を開設する人も増えているようだ。ただし、「新しいNISA」が始まる2024年以降は「一般NISA」「つみたてNISA」から新たに購入をすることはできないので注意しよう。

「新NISA制度」の注意点

新NISA制度では、非課税で運用できる枠が増え、期間も無期限になるなどお得がいっぱいだ。たしかに、新NISAは現行NISAよりもかなりイイ制度である。一方、新NISAの活用には注意すべき点もある。新NISA制度の注意点について見ていこう。

現行NISAでの運用分を移管(ロールオーバー)できない

まず、今すでにNISA制度で運用しているものを新NISA制度の口座に移管(ロールオーバー)することはできない。今持っているNISA口座で運用している資産を新NISAに移したいなら、一度売却して現金化してから新NISAの口座に再度投資を行わなくてはならないので注意しよう。

成長投資枠では投資できる商品に条件がある。なんでも買えるわけじゃない。

「つみたてNISA」を発展させた「つみたて投資枠」では、「つみたてNISA」対象商品と同じく、金融庁が選んだ積立・分散投資に適した一定の投資信託のみを購入することが可能だ。また、積立投資は年に2回以上のタイミングに分けて投資をすれば良いことになっている。

「一般NISA」を発展させた「成長投資枠」は、「一般NISA」同様に個別株やETF、REIT、アクティブファンドなど幅広い投資商品を購入することができるが、高レバレッジ型の投資信託やETF、毎月分配型投資信託、整理・管理銘柄や信託期間が20年未満の投資信託など、長期投資に合わないされる商品は購入することができない。つまりなんでも買えるわけではないということを頭に入れておこう。

非課税枠の再利用が可能だが、可能なのは翌年分から。いつでも使えるわけじゃない

新NISA制度で購入した商品を売却した場合、その取得価格分が非課税枠として再利用が可能だ。しかし、再利用できるのは翌年分からである点に注意しよう。

たとえば、非課税枠の1,800万円を使い切った状態でも、360万円分の商品を売却すれば360万円分の非課税枠が復活し、新しく商品を購入できる。ただし、再利用できるのは翌年分からになる点は注意が必要だ。だからたとえば、360万円分の商品を購入し、同年に売却、また同年に新たに購入するということはできないのだ。

まとめ

新NISA制度は、今のNISAよりもかなりイイことがわかった。新NISA制度をきっかけに、より良い資産運用を模索するのもよさそうだ。しかし、いくらイイ制度だからといって、限度枠いっぱいに投資するだけが良いわけではない。投資をし過ぎて借金などしてしまったら元も子もなくなる。自分のライフステージやライフプランに合わせて、長期的な視点で無理のない資産運用を目指そう。

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