スターウォーズのWikipediaページに、アメリカ下院の誰かが一文を加筆の謎

2017.11.5 08:07 更新

読了時間:7分46秒

誰かがWikipediaのライトセーバーの項目に余計な一文を付け加える

Image: AlexandrBognat / Shutterstock.com

一体誰が…?

エイリアン、ドロイド、宇宙船、ジェダイ…『スター・ウォーズ』シリーズで印象的なものはたくさんありますが、ジェダイの武器ライトセーバーなしにシリーズを語ることはできません。そんなライトセーバーのWikipediaページを巡って、最近奇妙な出来事がありました。アメリカ合衆国下院からのアクセスで、ライトセーバーについて余計な情報が書き加えられていたのです。

付け加えられていたのはこの一文(10月25日現在は修正済み)。

“ライトセーバーの刃の色は、それを振るうもののイデオロギーの善悪を示すものでも、振るうものの性別をほのめかすものでもない。”

確かに色は性別を示すものではありません。なのでこの点に関しては正しいと言えますが、正しいからと言って関連のない文章を書き加えるのも変な話です。そうでないなら「使用者の空腹の度合いで/ひげの長さで/年齢で色が変わるものではない」なんて延々と書けちゃいますからね。しかし善悪についてはどうでしょうか? 基本的なライトセーバーの仕組みは、フォースと共鳴する特性を持つカイバークリスタルがエネルギーを増幅する、というものです。

ライトセーバーの刃の色について昔の正史では、カイバークリスタルはフォースのライトサイドを好むものであり、ジェダイ・オーダーと長きにわたる関係を持ったものでした。ジェダイ達はライトセーバーを作るために周期的にクリスタルを採取しに来るものでしたが、ある意味ではその重要性からカイバークリスタルを他に使わせずにたくさん保有していたとも言えるでしょう。なお、カイバークリスタル以外にもライトセーバーに用いることのできるクリスタルが存在しますが(それらはまとめてライトセーバー・クリスタルと呼ばれる)、カイバークリスタルのほうが優れていました。

後に『クローン・ウォーズ』で描かれた設定では、ジェダイ訓練生たちは「ギャザリング」という通過儀礼で自らのライトセーバーに用いるクリスタルを見つけ出します。クリスタルは元々無色ですが、フォースを通じ訓練生たちとクリスタルとが調和することで青や緑などに変色するとされています。

赤い色のライトセーバーは元々は人工カイバークリスタルという設定で、自然のクリスタルのものよりも強力ではあるものの、希ながら破滅的な故障を起こすということでも知られていました。しかしシスにとってカイバークリスタルの入手が難しかったこと、そしてその荒削りな力から、シスはライトセーバーに合成したクリスタルを使っていました(一応、エピソード5と6の間をつなぐ今ではレジェンズ扱いの小説『帝国の影』ではルーク・スカイウォーカーのライトセーバーも自ら合成したクリスタルを使っているが、これは瞑想により緑色になったとされる)。

しかし、昨年新たに出版された正史本、E.K. Johnstonによる『Ashoka』では、赤いライトセーバーに新たな意味を持たせています。この本では、フォースのダークサイドによりカイバークリスタルが「血を流す」とされます。ダークサイドの使用者はライトセーバーをすでに持つ者から盗むなり殺したりして、クリスタルと元の所有者とのフォースの繋がりを失わせます。そしてフォース感受性の備わったカイバークリスタルは、フォースの暗黒面により痛み、苦しみを感じることで赤く染まるのです。この下りは以前の記事、「スター・ウォーズ」でダークサイドのライトセーバーが赤い理由が新たに発覚でも読むことができます。

この本に登場するアソーカ・タノは白いライトセーバーを使っています。これは、尋問官から手に入れた赤いライトセイバーのクリスタルからダークサイドのエネルギーを「浄化」したことで白くなったものです。こうして一度は赤に染まったクリスタルは白く浄化することはできるものの、それ以前に持っていた青や緑の色には戻りません。

現在シリーズが続いているダース・ベイダーのコミックでは、『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』後のベイダーが描かれており、ここでもベイダーが自らの母や妻を失った思い、ムスタファーで生きながら焼かれた記憶などを使い、クリスタルに血を流させる様子が描かれています。コミックのネタバレになってしまいますが、Star Wars Explainedがこれを解説していますのでそれも載せておきましょう。


Video: Star Wars Explained/YouTube

確かに厳密に言えば、ライトセーバーの刃の色はそれを用いる者の善悪に直接の影響を受けるわけではありません。フォースと調和することではじめて色を持ち、悪の手に渡った後に「血を流させ」ることで始めて赤くなり、浄化されることで白くなる。でも単に他人のライトセーバーを拝借して使ったって色が変わるわけではなく、変わるまでにはフォースを使った工程が必要となるわけです。しかしio9のコメント欄で指摘があるように、他方ではその使用者とライトセーバー/クリスタルとが繋がりを持つことで、ライトセーバーがより扱いやすくなることが『反乱者たち』では描かれています。

このことからすると、わざわざカイバークリスタルが使用者に反発するような状態(ライトサイドに染まったクリスタルをダークサイド使用者が使う、またはその逆)よりも、「自分の善悪の価値観に染めた」状態のほうが使いやすいこと、そして数多くの正史からしてもライトセーバーをそうして使用する人のほうが多いことがわかるはずです。そんなことからも、今回のWikipediaの編集で付加された一文は、無くても良い余計な一文であったと言えるのではないでしょうか。

この『Ashoka』で付加された新設定はファンの間でも賛否があり、もしかしたらそんなこともあって今回のWikipediaの編集が行なわれたのかもしれません。それにしてもアメリカ合衆国下院からの編集だったり、「使用者の性別をほのめかすものでもない」なんて書いたりするなんて、一体どんな人が編集したのか気になるところですね。

(なお、メイス・ウィンドゥのライトセーバーが紫なのは、ウィンドゥを演じたサミュエル・L・ジャクソンが紫が好きだったこと、そしてジェダイが多数登場するジオノーシスの戦いで自分が見分けやすいようにとジョージ・ルーカスに頼んだためです)

Image: AlexandrBognat / Shutterstock.com
Source: Twitter, Wikipedia, YouTube

Charles Pulliam-Moore – Gizmodo io9[原文
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