お金をかけずに“カスタム”で革靴を百倍楽しむ【ファッション連載 Vol.5】

2017.11.10 10:07 更新

読了時間:8分19秒



文:水谷祐司

 「一目で高級に見える靴を履きたい」「その日の気分で毎日靴を履き替えたい」などなど、少しでもお洒落やファッションに関心がある方なら、一度や二度こう思ったことがあると思います。しかし現実は厳しい。本格的な高級靴となると一足で5万円10万円はしますし、それを何足も揃えるとなるとお金がいくらあっても足りません。

 でも諦める必要はありません。“カスタム”という手があります。たった2千円でサンダルを高級靴のように見せたり、ちょっとした工夫で手持ちの靴にバリエーションを与えたりすることが出来ます。また、簡単に自分の手で革靴を好きな色に染めることも可能と、“カスタム”なら大金を用意しなくても、特別な技術が無くても革靴を百倍楽しむことができます。

 今回はそんな革靴のカスタム方法についてご紹介します。お時間のある時にでも是非ご覧ください。 



【初級編】“ハイシャイン”で革靴に高級感を出す

 いつも化粧っ気のない女性がバチッとメイクをするだけで、ハッとすることはよくありますよね。「別人」とまでは言わなくても、印象が随分と変わって驚くことがあります。男性の場合、顔にメイクをすること難しいですが、革靴なら可能です。例えばつま先部分に「ハイシャイン」を施すだけで革靴をグーンとグレードアップさせることが可能です。

 「ハイシャイン」とは、別名「鏡面磨き」と言われる文字通り顔が映りこむくらいにピカピカに磨くお手入れ方法で、つま先に傷がつかないよう保護する役目と同時に、見違えるほど高級感を出す効果があります。その証拠が下の写真。パッと見は高級ブランドの革靴のようですが、よく見ていただくとわかる通り、こちらレザーサンダルです。ハイシャインでつま先を磨き、さらにブラウンのクリームを使ってグラデーションを出してもらいました。「ハイシャイン」を施せばビルケンシュトックのようなレザーサンルも、高級靴に見せることが出来るという見本ですね。

 ちなみに「ハイシャイン」はプロにお願いしても2千円程度で可能ですし、技を覚えて用具さえ揃えれば自分で施すことも。靴の手入れや身だしなみを兼ねた初歩的な“カスタム”として是非おススメします。



【中級編】“アクセサリー”を気分次第で付けかえる

 たとえばスーツやジャケットを何着も用意して毎日着替えるとなると、随分とお金がかかって大変ですよね。でもネクタイならどうですか?大金がなくてもある程度の本数を用意することができますし、違う柄や色のネクタイが5本あれば、1週間のうち毎日違う気分を味わうことが出来ますよね。しかもVゾーンは顔の印象を大きく変えるとも言われるだけに、イメージチェンジをするにはもってこいのアイテム。

 革靴の場合、シューレース(靴ひも)がネクタイと同じ効果を発揮してくれます。例えば黒を茶に、あるいはカラフルなカラーに交換したり、またはコットンの平紐を革製のものへと素材を変えるだけで、同じ靴でも印象がガラリと変わります。

 さらにそのシューレースにアクセサリーを付ければ、まるで違う靴に変身させることも可能。たとえば写真の「キルティ・タン(Kiltie tongue)」。ゴルフシューズによく見られるギザギザの切り込みがあるエプロン・タンのことですが、単体で販売されているので、いつも履く革靴のシューレースに通して付ければ、カジュアルかつ遊び心のある靴に早変わり。靴本体を新たに買い足さなくても、いつも履いている靴にこうしたアクセサリーを付けるだけで十分に変化を楽しむことが出来ます。




【上級編】“パティーヌ”で自分の好きな色に染める

 最後はかなり本格的なカスタム「パティーヌ」をご紹介します。「パティーヌ」とは本来、家具や車などの「古い色」とか「使い込んだ風合い」などを表現する際に使われる言葉で、そういった色や風合いを革製品などに施す技法をパティーヌ仕上げと呼んでいます。つまり新品の靴でも色ムラなどの“エイジング感”を楽しめるようになるわけです。

 具体的には、幾重にも染料の色を重ね染め上げて独特な色ムラを出すのですが、「パティーヌ」が施された製品としては、「Berluti(ベルルッティ)」というフランスの超高級ブランドの革靴や革小物などが有名です。機会があれば是非見ていただきたいのですが、同ブランドの製品は単なる色ムラを遥かに超越した、まるで古い絵画を思わせるような芸術的な仕上がりになっています。と聞くと何だかとても大変な技法で「一般の素人が簡単に真似できるものではない」と思われがちですが、そうでもありません。道具と正しい指導を受ければ、初めての方でもそれなりにパティーヌをすることができます。

 たとえば下の写真。ボルドーとブラックの陰影のコントラストが美しいこちらの靴は、ヌメ革独特のナチュラルな色の靴にパティーヌをしたもので、パティーヌ経験がこれで4足目という靴とまったく無縁の仕事に従事しているアマチュアの方が手がけたもの。下の関連記事でも紹介していますが、パティーヌの専門家によるワークショップに参加すれば、DIY感覚で革靴を好きな色に染めあげ、写真のようにこの世に一足しかない自分だけの靴にカスタムすることが可能です。




 さて今回の「“お金をかけずにカスタム”で革靴を百倍楽しむ」特集は、如何でしたでしょうか?沢山革靴を揃えなくても、ちょっとした工夫や手間で“靴の着替え”を楽しむことは出来ますし、また大金を使わなくても“自分だけの靴”を作ることは可能ですので、是非トライしてみてください。

 なお下の関連記事で、革靴カスタムのビフォーアフターを確認することが出来る記事や、個人的にカスタムをお願いしているショップや修理店を紹介していますので、興味のある方はそちらも是非ご覧ください。

 次回の記事は1ヵ月後に掲載する予定です。引き続き持っているだけで気分がアガるファッショングッズやビジネスグッズなどをご紹介していきますので、お楽しみに。


■関連記事

「Mのブツ欲日記」歌舞伎町靴鞄修理店 ハイシャインサービス

「Mのブツ欲日記」TAKAFUMI ARAI SPECIAL KILT&TASSEL(二枚刃)

「Mのブツ欲日記」Brusque House パティーヌ ワークショップ

【ショップ紹介】Rifare(リファーレ)

【ショップ紹介】歌舞伎町靴鞄修理店

【ショップ紹介】Brusque House

■過去記事

あなたの知らないヴィンテージ時計の魅力【ファッション連載 Vol.4】

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30~50代男性から圧倒的支持! ブログ「Mのブツ欲日記」作者に迫る【ファッション×インタビュー】

水谷祐司さん

30~50代男性のファッションリーダーとして、知る人ぞ知る人気ブロガー。2005年8月から「Mのブツ欲日記」(http://m-butsuyoku.blog.so-net.ne.jp/)というタイトルのブログを運営。月間30万PVを誇るブログには、水谷さんがオススメするモノならぜひ入手したいと思う熱心な読者がたくさんいる。現在では、ブログ以外にも商品開発や雑誌の企画協力などにたずさわっている。


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