成功は考え方しだい?! 夢を実現するための5つの条件

2017.7.11 12:07 更新

読了時間:10分36秒

仕事においては2〜3割の人が「そこそこの成功」にたどり着ける? クランボルツに学ぶ夢のあきらめ方

“たとえばビートたけしさん、タモリさん、明石家さんまさん、松本人志さん——言わずと知れたお笑い界のビッグ4は総じて「夢なんかかなわない」と否定的なコメントを発しています。

一方で、アップル創始者のスティーブ・ジョブズ氏、ホリエモンこと堀江貴文氏、名プロデューサーのつんくさんらは、好きなことに徹底的にこだわるべき、と講演や著作物で述べています。

各界のトップに君臨する大成功者の方々が、こんなにも真反対な主張をする。これでは誰だってどうしたらよいのかわからなくなってしまうでしょう。

そう、それくらい「夢」というのは厄介なシロモノなのです。(「はじめに」より)”

そこで夢について、「どう対処したらよいのか」を解説しているのが、きょうご紹介する『クランボルツに学ぶ夢のあきらめ方』(海老原嗣生著、星海社新書)。タイトルにあるとおり、中心になっているのはキャリアの古典理論として有名なクランボルツの「計画的偶発性理論(planned happenstance theory)」です。

ただし、そこ書かれているのは、人によってどうにでも解釈できてしまえること。そのため現実生活の細かな場面において、それをどう展開していけばよいのかわからなくなってしまうという難点もあると著者は指摘しています。

そのため本書では、有名人のキャリアや、名経営者の至言、歴史上の人物の足跡などをまじえ、わかりやすく解説しているわけです。そのなかから「仕事」に焦点を当てた、3「仕事での成功は難しくない」を見てみたいと思います。

どの仕事でも、入った人の2〜3割が成功を収める

果たして仕事で成功することができるか」を考えてみるにあたり、著者はまず「成功とはどのくらいのことを指すのか」を定義しています。

最初に引き合いに出されているのは、お笑い芸人。テレビでレギュラー番組を多く持ち、億万長者になっている人たちです。ただし彼らは、後世にわたって名をとどろかせるお笑いビッグ4(冒頭で触れたビートたけし、タモリ、明石家さんま、松本人志)ほどの大成功者とはいえない。そのくらいの状態を、「そこそこの成功」と呼んでいるのです。

野球でいうなら、一軍のレギュラーになるクラス。イチローや王選手のようなレジェンドとまではいかないものの、誰もが認めるくらいの状態だといいます。日常のレベルに当てはめるなら、「社長にはなれないけれど、社内では誰からも認めてもらえる」状態。「部長になれた人」くらいが、一般的な会社での「そこそこの成功」にあたるというのです。

ちなみに、実は仕事での成功には、一種の普遍的な法則があると著者はいいます。どんな仕事であれ、その仕事のスタートラインに立てた人の2〜3割が「そこそこの成功を収める」という経験則。「その仕事で周囲から認められ、その人のことを信奉する後輩も多く、経済的にも裕福になっている」という「そこそこの成功」を、2〜3割の人が手に入れられるということです。

そして、そんな「普遍的な法則」が成り立つ理由は、「入職」という関門にあるのだとか。会社でいえば「採用試験」であり、野球なら「ドラフト」。そこをかいくぐって仕事に就けたということは、その時点でかなり選抜されて「仕事に向いている集団」の一部になっているという考え方。そうしたレベルにあるのだから、成功確率も上がっていて、「2〜3割がそこそこの成功を手に入れられる」ことになるというわけです。(76ページより)

3人に1人が大名になれている?

ここで著者は、「江戸時代に一国一城の主となったお殿様」である大名の話題を持ち出します。

下克上で実力主義の戦国時代の場合、どのくらいの確率で大名になれたのでしょうか? 多くの武士のなかで、最終的に江戸幕府で大名として残れたのは276名(藩)しかいないのだから、万に一人以下の確率になるだろうと考えてもおかしくはありません。ところが、この推論は前提が間違っているというのです。なぜなら武士全員が、先に触れた「同じ土俵でスタートラインに立てた人」とはいえないから。

会社で部長になれる人の確率が2〜3割なのは、「同期入社した総合職正社員」をベースに考えているから。そこにアルバイトやパート、派遣社員までを加えたら、途端に「万に一人」になってしまうわけです。これは戦国時代の殿様になれる確率にもいえることで、つまり同じように分母となる集団を「採用の関門をくぐった人」に揃えて考えなければいけないということ。

江戸時代の大名が、3つのカテゴリーに大別できるのはご存知のとおり。ひとつが徳川家の親類たちにあたる親藩で、これは全部で22藩。続く外様大名は関ヶ原の戦い以前からすでに大名だった人(正確には多少異なる)で、全部で111藩。残りの143藩が、もともと徳川家康の家来だった譜代(ふだい)。出世を重ね、関ヶ原の戦い以降に殿様になれた人たちです(これも正確には多少異なる)。そして著者によれば、譜代大名は会社の構造と比較しやすいのだそうです。

“143藩ある譜代大名は、単純に143名の人たちから成り立っているわけではありません。ある家門の人たちが、分家したものなので、元々の出自はもっと少ない人数となります。そこまでたどって数字を調べてみますと、以下のようになります。

安祥譜代(徳川家が安城を拠点にしていた時代の家来)7家

岡崎譜代(岡崎を拠点にしていた時代の家来)16家

駿河譜代(駿河を拠点にしていた時代の家来)31家

(80ページより)”

では、各時代に徳川家の家来は何人いたのでしょうか?

まず、安祥時代の徳川家(当時は松平)はとても小さな藩で、とりわけ名公清康の亡きあと、内輪もめに織田家・今川家の攻撃が加わって、版図はとても小さくなったのだとか。このころの兵力は1000名程度まで減っていたそうです。1000名のうち大名になれたのが7名なら、確率は0.7%だと思えますが、それも早合点なのだといいます。この1000名もまた、「同じスタートラインに立った人」ではないから。

当時はまだ兵農分離がなされていなかったため、お百姓さんが農閑期に侍をやっていたというケースがとても多いというのです。また、いわゆる傭兵である足軽は、主をころころ替えてわたり歩くたぐいの侍。いまの時代にたとえるなら、前者がパートタイマー、後者が派遣社員になるだろうと著者。他にも、松平家に直接雇われたのではなく、有力な家来の下に従う侍もいたのだとか。現代でいえば関連会社社員というわけです。

以上のような兵力を合わせると9割以上になるはずで、残りの1割弱が松平家に直接雇用された社員ですが、そのなかにも、ある特定の技能を持ち、そのスペシャリストとして雇われた、昇進が望めない人たちもいたのだといいます。現代なら専門職もしくは嘱託社員にあたるでしょう。

こうした人を除き、総合職正社員にあたる人たち(家臣)がどのくらいいたのかといえば、安祥時代はたった20数名。そのうち大名になれた人は7名なので、約3割ということになります。

同じように計算すると、岡崎時代の家臣は50名程度で大名になれたのは16名。駿河時代の家臣団は100名を超えますが、大名になれた人は30名。つまり集団を揃えて「土俵に立てた人」をベースにすれば、いずれの時期も3割程度が大名になっているというわけです。

このように母集団を「同じ土俵に立てた人」にすると、成功者はやはり2〜3割に。これが、仕事におけるひとつの不思議な普遍即だというのです。しかも彼らは、徳川家康や豊臣秀吉のような天下人になったわけではありません。そうしたレジェンドになれるのは、同じ土俵に立てた人のうちの、何万分の一。つまり、そこそこに成功する割合が2〜3割だということです。

職業とは、だいたいこんな感じなのだと著者はいいます。成功が難しいといわれる職業の場合は、その世界に入るために厳しい選抜がなされるもの。だから、「同じ土俵に立てた人」がハイレベルになっており、そこから成功に至る人は2〜3割。

それほど難しくなさそうな職業の場合、入職の選抜もゆるいため玉石混交状態に。だから難しくはない仕事なのに、成功者はやはり2〜3割しか出ない。これが人材業界で経験則としていわれる職業の成功確率なのだそうです。(78ページより)

「仕事」という勝負の、掛け金はなにか?

ところでクランボルツは、「夢の種」を導き出すために必要な5つの条件を示しています。それは「好奇心」「持続性」「柔軟性」「楽観性」「冒険心」。

“好奇心(おもしろい)→冒険(やってみよう)→楽観(大丈夫)→持続(納得いくまで)→柔軟(テングにならない)

(46ページより)”

という流れが計画的偶発性理論であり、この条件をちゃんと守っていればいつでも新しい自分が見つかり、自分が磨かれるということ。でも、たとえば現在の仕事で「そこそこの成功」にたどり着ける確率が2〜3割、つまりだいぶ手の届くところまで来ているのに悩みから解放されないとしたら、それはクランボルツの5条件のどこかが機能不全になっているからなのだと著者は主張しています。だから、その点検をすることが大切だという考え方です。(83ページより)

結局のところ、夢が叶うか叶わないかは考え方の問題なのかもしれません。いずれにしても、きちんと考えて自分なりの視点や考え方にたどり着くことこそが重要なのではないでしょうか? 本書は、そんなことを考えさせてくれます。

印南敦史

元記事を読む

Lifehacker


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